株式会社 ルクスエテルナ

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ようこそ「(株)ルクスエテルナ」のホームページへ!
平成26年 2014年 5月創業から、皆様に支えられ
令和7年 2025年 5月で創業12年目です。
ありがとうございます。

(会社になる前、平成22年 2010年 個人事業
ルクスエテルナが始まってからは16年目)
これからも、みなさまの大切な住居空間を、
責任をもって提供させていただきたいと思います。

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.14

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.14  2025/04/01

 こんにちは!第14回目は、曲ではなく、前回触れたシューベルトとメンデルスゾーンに焦点を当てたいと思います。シューベルトはもちろん天才作曲家だったのですが、音楽史上ではおそらくもっとも不遇な作曲家ではないか?メンデルスゾーンはその対極ではないか?と私は思っているからです。

 ベートーヴェンと同時代を生きたシューベルトですが、ベートーヴェンの後を追うようにわずか31歳で夭折してしまいます。性格は弱気で内気。ベートーヴェンとは正反対です。しかし現在、彼は「歌曲の王」と呼ばれています。私も小学校で「魔王」や「のばら」「ます」を聴いて、ドキドキした記憶があります。小学生の感性にも触れる歌を、シューベルトは数多く残したのです。

 優しい性格のシューベルトは幼少の頃から音楽学校での寮生活を送り、年に一度の実家への帰省を楽しみにしていたそうです。作曲の手ほどきを受けたシューベルトは、早速弦楽四重奏曲を書いて、毎年の実家へのお土産にしたそうです。シューベルトの一家も音楽一家で、家族で弦楽四重奏を楽しむためでした。しかも彼は、あまりビオラが上手ではなかった父親のためにわざとビオラパートを易しく作曲したと言います。泣かせるエピソードですね。

 人付き合いが苦手だったシューベルトは、成人してからも苦労の連続でした。自分を上手く売り込むことができないため、常に友人が力になったと言います。それでも生活は苦しく、借金の連続だったようです。それでも交響曲を8曲作曲し、特に第7番「未完成」と第8番「ザ・グレイト」は素晴らしい傑作です。「歌曲の王」は交響曲の分野でも才能を発揮していたのです。

 一方のメンデルスゾーンですが、音楽評論家S氏の表現を借りると「ゆけどもゆけども、バラまたバラ」の人生でした。概して18世紀までの武術その他を含む芸術家は金銭的な苦労を抱え込むことが多かったと思いますが、メンデルスゾーンは例外中の例外でおよそ金銭的な苦労とは無縁の人生でした。

 実業家でもあったメンデルスゾーンはシューマンをはじめとする若手音楽家の育成にも精力的に活動し、音楽院の設立資金の調達に奔走したと言います。しかしながら享年38という夭折の原因は、最愛の姉が亡くなったことによる精神障害が原因だったそうですので、メンデルスゾーンがいかに姉に対して思慕の念を抱いていたかがうかがえます。

 メンデルスゾーンといえば5曲の交響曲のうち、特に第3番「スコットランド」第4番「イタリア」が特に有名です。しかしメンデルスゾーンといえば「メンコン」の知名度が圧倒的ではないでしょうか?メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調の日本での略称ですが、ベートーヴェン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲とあわせて「3大ヴァイオリン協奏曲」と呼ばれているほどの名曲です。特に第1楽章冒頭から始まるソロヴァイオリンの切ないメロディは、一度聴いたら忘れられないくらいの素晴らしいものです。あと小曲ですが、劇付随音楽「夏の夜の夢」の「結婚行進曲」も忘れてはならない人気の曲ですね。

 今回は趣向を変えて2人の対照的な作曲家にスポットライトを当ててみました。取り上げた曲は名曲揃いですので、是非ネットで聴いてみてください。

 それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!


ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.13  2025/03/23

 こんにちは!第13回目の曲は、モーツァルトの弦楽四重奏曲第17番「狩り」とシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」です。今回のテーマは「ブリッジ」に注目したいと思います。「ブリッジ」は、序奏からメインへ、AパートからBパートへといった具合に「音楽の引き継ぎ部分」と定義しましょう。

 ここで大事なのは演奏者です。もちろん作曲家の楽譜こそが絶対的基礎にあるわけですが、それをどのように演奏するかによって音楽の盛り上がりが全く変わります。モーツァルト、シューベルトの時代には録音がなく、生演奏こそ唯一の表現方法であったわけですから演奏者に重要な責任が発生します。

 そこを上手くやった演奏録音のご紹介です。モーツァルトの「狩り」は、スメタナ弦楽四重奏団(スメタナSQ)。シューベルトの「ザ・グレイト」は、ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団がとにかく素晴らしいのです。

 スメタナSQの演奏のどこがスゴイかというと、「狩り」の第1楽章の前半の繰り返しが終わり中間部に入るほんの一瞬の部分です。「弦楽四重奏」なわけですから、4人の呼吸がぴったり合わなければ良い演奏は生まれません。その点、繰り返しから中間部への「ブリッジ」をスメタナSQは天国的な美しさで表現しています。

 一方のワルターですが、オーケストラという数十人をドライブする指揮者ですから、弦楽四重奏曲とは別の難しさがあります。シューベルトの「ザ・グレイト」は第1楽章の序奏から主部に入るまでの「ブリッジ」の高揚感がこれまた天国的な美しさです。主部に入った瞬間の劇的な音楽の変化も特筆ものです。そもそもコロンビア交響楽団がワルターのために結成されたオーケストラなので、ワルターとコロンビア交響楽団は長年連れ添った夫婦のごとく素晴らしいコンビだと言えるでしょう。

 余談ですが、「ザ・グレイト」をあるアマチュアオーケストラが演目にしたときに、団員の一人が「同じ事の繰り返しで、つまらない」とこぼしていたことを思い出します。その言葉を耳にした私は「わかってないなあ」と思いました。確かに「ザ・グレイト」は4つの楽章とも主要な主題の繰り返しが顕著です。特に第4楽章は「これでもか!」というくらい同じ主題が繰り返されます。

 しかしながら、やはり他の天才作曲家はわかっていたのですね。「ザ・グレイト」を楽譜通りに演奏すると約1時間かかるのですが、シューマンはこの曲をジャン・パウルの小説に例えて「天国的な長さ」と表現しています。私も全く同感です。

 実はシューベルトは作曲に興が乗ると無意識に同じ主題を繰り返し出してしまうという「癖」があったようなのです。他の名曲でも交響曲第7番「未完成」やピアノ五重奏曲「ます」でも、シューベルトは同じ主題を繰り返し出しています。そしてこれらの曲は、シューベルトの代表作である名曲揃いです。シューベルトについてはまだネタがありますので、いずれ機会を見てご紹介したいと思います。

 さあ、ネット検索して実際に確かめてみてください!なお「狩り」は演奏者の呼吸音までわかる録音です。これは人によって好みが分かれるところですが、私は呼吸音が入っている方が好きなので気になりません。でも無理にはオススメしませんので、ご了承くださいませ。

それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.12

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.12  2025/03/17

こんにちは!第12回目の曲は、満を持しての登場となる、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」です!いわゆる「第九」です!なぜ今まで取り上げなかったのか不思議なくらい、超有名な名曲です。私がここまで「第九」を取り上げなかったのには明確な理由があります。

皆さんが初めてこの曲に接するのは、小学校で習う「よろこびの歌」だと思います。このあたりは前回のドボルザークと似ています。「第九」が表現したいのはまさに第4楽章の「よろこびの歌」なのですが、私はその「よろこびの歌」に至る過程を知って欲しいからです。

簡単に曲の説明を。ベートーヴェンは同じドイツ人詩人シラーの「歓喜に寄す」という詩に若い頃から魅了されていました。いつかこの詩に自分で曲を付けたいという野望を持っていました。「運命」交響曲を作曲した頃からこの構想があったようですが、最終的には最晩年までかかって完成した、まさに産みの苦しみを経た曲なのです。

ベートーヴェンの意図は簡単です。「苦悩を経て歓喜に至る」というシラーの詩に、ベートーヴェンは自分の人生を重ね合わせていました。音楽家、作曲家でありながら一番大切な聴力を失い、一時は死を覚悟して遺書まで書いたベートーヴェンが、不屈の精神力でよみがえって見事に花を咲かせたのが「第九」なのです。この過程を込めたのが第1楽章、第2楽章、第3楽章で、私たちがよく知る「第九」のクライマックスは第4楽章なのです。この構図を理解して欲しいと思います。

ベートーヴェンは第1楽章から第3楽章までで「どうすれば歓喜の歌に至ることができるか?」を3つのパターンで示しました。そのどれもが第8番までの交響曲とは次元の違う高いレベルで、なおかつ希代のエンターテイナーであるベートーヴェンがその持てる力を全て注ぎ込んだ力作です。ですので、この3つの楽章はクラシック音楽初心者には少しハードルが高いと私は考えています。しかし、ここまで私の連載にお付き合いしていただいた皆さんなら、今こそ「第九」の真価に迫る事ができると信じています。

1楽章は「運命交響曲」と同じくらいの熱量を持っている、ベートーヴェンの交響曲中、屈指の名楽章です。漆黒の闇の中から静かに現れるメロディーが、ベートーヴェンが最初に描いた「よろこびの歌」なのです。ただし、少々激しすぎるきらいがあります。

2楽章は、一般的な交響曲なら静かな「緩徐楽章」のはずですが、ベートーヴェンはあえてここに「スケルツォ」という舞踏曲を配置しました。踊りの曲ですがその内容は非常にエネルギッシュで、中間部は牧歌的でもあり「田園交響曲」を彷彿とさせます。余談ですが、ベートーヴェンはこの楽章で史上初めてティンパニをソロ楽器として使用しました。その効果たるや抜群で、この楽章が目指す「よろこびの歌」の方向性がわかります。

3楽章はいわゆる静かな「緩徐楽章」で、静けさの中に秘めた確かな熱量が「よろこびの歌」を切々と歌い上げます。ここまで天国的な音楽があるだろうか?と誰もが思いますが、切ない余韻を残して曲は静かに終わります。

そして第4楽章です!ここでベートーヴェンは、これまでの3つの楽章のメロディーを1つずつ出しては低弦(チェロとコントラバス)に「違う!これではない!」と否定させます。特に見事なのが第3楽章の否定です。低弦も第3楽章の甘美なメロディーには一瞬ひるんで流されそうになりますが、やはり「違う!」と否定します。私の好きな音楽評論家U氏の言葉を借りれば「この部分は音楽よりもむしろ文学に近い」です。

そしてようやく現れるのが、木管楽器によるおなじみの「よろこびの歌」のメロディーです。これまでの苦難を経た低弦も「これだ!これだ!」と嬉しそうに肯定します。ついに「歓喜の歌」にたどり着いた!かのように思われたところで、一転してまた嵐のような全楽器による否定!そしてバリトンが「おお友よ!そのような音楽ではない!」と否定し「私たちとともに歓喜の歌を歌おう!」と呼びかけて、シラーの「歓喜に寄す」をソプラノ、アルト、テノール、バリトン(バス)そして「合唱」が歌い上げるという誠にドラマティックかつ効果的な演出で、ベートーヴェンの長年の夢であった「歓喜に寄す」の交響曲が完成するのです。ちなみに交響曲に「声楽」「合唱」を史上初めて取り入れたのも「第九」です!

演奏ですが、実は奇跡のような名曲には奇跡のような演奏があり、フルトヴェングラー指揮のバイロイト祝祭管弦楽団のライブ録音が不動のナンバー1です。この演奏はVol.2の「運命」と同様、フルトヴェングラーが戦後初めて世界的な音楽祭であるバイロイト音楽祭に復帰した記念すべきコンサートのライブ録音です。モノラル録音ではありますが、聴衆の異様な熱気と妙に生々しく楽器の音が捉えられた、音楽史に燦然と光り輝く残るコンサートの録音です。

そもそも「第九」は名曲過ぎて普通のオーケストラが演奏しても感動できますが、世界大戦後の初の平和の祭典であるバイロイト音楽祭での、それもフルトヴェングラー指揮の演奏ということで、名オーケストラの寄せ集めであるバイロイト祝祭管弦楽団からここまでの音楽を引き出すことができたのは、ひとえにフルトヴェングラーのカリスマ性に尽きるとしか言いようがありません。第4楽章の最後はあまりの高揚のため猛スピードでオーケストラもついて行けなくなり唐突に音楽が終わってしまいますが、その後の聴衆の拍手喝采たるや、ベートーヴェンの初演もかくやと思わせるものすごい録音になっています。

余談ですが、クラシック音楽オタクの間でよく話題になる「無人島にたった1枚だけCDを持って行くなら何にする?」がありますが、多くの人がこのフルトヴェングラーの「第九」をあげます。かくいう私もそうです。それくらいの圧倒的名演奏なのです。「第九」のCDをお持ちで無いなら、迷うこと無くこのフルトヴェングラーの「第九」をオススメします。

「第九」は名曲なので、つい長文になってしまいました。お許しくださいませ。

 それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!


ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.11  2025/03/11

 こんにちは!第11回目の曲は、ドボルザーク作曲の「チェロ協奏曲」です。なぜこの曲を選んだのか?それはブラームスのおかげです。ドボルザークをライバル視していたブラームスが、この曲の初演を聴いた感想は「チェロにこんな事ができるとわかっていたら、私が先に作曲していたのに!」という、悔し紛れの、しかしライバルに対する最大級の賛辞だったからです。

 私たちがドボルザークの曲に初めて接するのは、おそらく小学校で習う「家路」もしくは「遠き山に日は落ちて」です。こちらは交響曲第9番「新世界より」の第2楽章に歌詞を付けたもので、小学生でも楽しく歌える素晴らしい曲です。

 今回取り上げる「チェロ協奏曲」は、ドボルザークが故郷ボヘミアを離れ、アメリカで作曲した「交響曲第9番「新世界より」」「弦楽四重奏曲「アメリカ」」とあわせて、「アメリカ三部作」と呼ばれています。どれも素晴らしい名曲です。

 「チェロ協奏曲」は、ハイドン以来のチェロ協奏曲として、ハイドンのチェロ協奏曲を上回るエンターテインメント性の高い、すなわちクラシック音楽のハードルが低い初心者向けの聴いて楽しい名曲です。「チェロってこんな凄いんだ!」と聴けば一発でわかる曲です。さすがのハイドンのチェロ協奏曲もここまでのエンターテインメント性は持っていないと個人的に思います。

 私のイチオシの演奏は、ピエール・フルニエがチェロ独奏を弾いた、ジョージ・セル指揮のベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏です。一般的にはロストロポーヴィチがチェロ独奏のカラヤンの演奏の評価が高いようですが、私は断然フルニエのチェロを推します。まあ、どちらの演奏も甲乙付けがたいというのが事実だとは思いますが。

 「協奏曲」は一般的に3楽章構成です。「急、緩、急」という3つの楽章から構成されることが多いです。ドボルザークのチェロ協奏曲は、この3つの楽章のどれもが色々な意味でとても高いレベルで作曲されています。どの楽章を取りだして聴いても「イイ!」のです!3つの楽章にムラが無いことは重要です。「第1楽章は良いんだけどね」なんて陰口をたたかれる曲のなんと多いことか!しかしドボルザークのチェロ協奏曲は、意地悪にあら探しをしても欠点が見つからないのではないか?というくらい完成度が高いと思います。

 まずは誰の演奏でも良いので、ネットで検索して聴いてみてください。この曲を弾きこなせる技量を持ったチェリストの演奏であれば、期待を裏切ることはないと思いますので。なぜブラームスが上記のような誠に微笑ましい(笑)感想を、地団駄踏んでライバルに送ったのかがわかると思います。

 芸術家は音楽の分野に限らず、負けず嫌いが多いです。皆さんもお好きなアーティストの負けず嫌いなコメントを一度は耳にしたことがあると思います。私は高尚な芸術だと思われているクラシック音楽において、実はものすごく人間くさいドラマが隠れていることをこれからの連載でご紹介していきたいと思っています。

 それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!



ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.10 2025/03/03

こんにちは!第10回目は趣向を変えて、「音楽における民主主義(クラシック音楽編)」について書きたいと思います。はじめにお断りを入れますが、いつもながら私の完全主観ですので、お気を悪くされたらすみません。さらに今回はイニシャルトークも入れていきますので訴えられるかもしれませんが、そのときは全力で謝罪する用意がありますのでお目こぼしをお願い申し上げます(^_^)

さて、良い曲とは何でしょうか?ヒットチャートで1位になる曲?長年歌い継がれる曲?失恋したときに聴いた曲?人によって好みが分かれるはずです。至極当たり前のことです。

しかし、ランキングを付けたいのは古今東西人の性のなせる技でしょうか?ポップスからクラシックまで、いつの時代にもランキングというものは存在しました。今回はクラシック音楽について、ランキングの功罪という意味で「民主主義」を考えたいと思います。

日本のクラシック音楽の世界には、権威のある雑誌が2冊あります。そのうち録音(CD)を批評する雑誌「R」について、私の実体験も含めて「民主主義の功罪」を述べます。雑誌「R」はレコードの時代から、多くの音楽評論家が数々の「録音」について批評してきた雑誌です。私も一時期購読していました。

貧乏学生時代、少しでも良い演奏を聴きたくて雑誌「R」の評論家の批評を参考にしてCDを購入していました。その評論家の中にU氏がいました。U氏の歯に衣着せぬ自分の主張を前面に押し出した批評が私は大好きでした。私はU氏が「これぞ決定盤」というCDばかりを購入しましたが、確かにその演奏にはU氏の主張を裏付ける感動がありました。たまにハズレもありましたが(^_^)

その雑誌「R」の別冊で、主なクラシック音楽のランキングを作る企画がありました。各評論家が手持ちの10点の点数を、1位から3位までの曲に振り分けてそれで多数決をとって「交響曲」「協奏曲」といった分野ごとにランキングを作るというものでした。

U氏以外の評論家は、1位に5点、2位に3点、3位に2点というような「無難な」点数の付け方をしたのですが、U氏は1位に8点、2位と3位は1点ずつというような極端な点数の付け方をしていました。おかげでU氏が1位にした曲が点数を多く獲得し結果的にランキング上位に来るという事態になり、「U氏の好みが出過ぎている」という編集長の判断によりU氏の点数の付け方は不採用になりました。そして極めて「民主主義的」にランキングが作成されたのです。

私はこのランキングを信じて、チャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」全曲CDを購入したのですが、全くの大ハズレでした!少しも感動できる箇所がありませんでした。そこで悟ったのです。「音楽において民主主義(多数決)は無意味だ」と。

ただし重要な補足をします。一見、上記のランキングの付け方は正しいように思われます。しかしこのやり方には「罠」があります。これまでの連載で取り上げた「絶対的名盤」という録音は存在しますし、圧倒的な得票点数によりそのCD1位になります。しかし「絶対的名盤」が存在しない曲の場合、「たまたま」評論家の好みが似ていたという理由だけで1位になってしまう曲もあるのです。前述の「白鳥の湖」はこの理由で1位になったのです。空虚な理由で1位になったのだから、演奏が空虚なのも仕方ないです。ただ、その時代の最先端の演奏スタイルであったとか、曲の本質とは関係ないところで評価されて1位になる曲があるのです。

ポップスだって同じです。演歌だって同じです。「絶対的名曲」が山のようにあります。このような曲は時代を超えて愛され、Z世代からも支持されるのです。老若男女が時代を超えて支持する曲が、私たちの身近に確かにあるのです。そしてその曲がなぜ支持されるか?という問の答えは簡単です。「感動するから」です。だから令和の今でも、昭和の歌の特集が高い視聴率をとることができるのです。

クラシック音楽においても同じです。こちらは200年以上の歴史があって、その中で生き残ってきた曲ばかりです。全てが名曲と言っても過言ではありません。ただし演奏によって曲の本質を捉えることができるか?がとても重要です。素晴らしい演奏によって名曲は光り輝くのです。

その昔、エジソンが「録音」を発明するまで、人々はその場限りのライブ演奏でしか曲の善し悪しを判断できませんでした。ランキングどころではありません。まさに「一期一会」でしか音楽を鑑賞することができなかったのです。しかし「録音」が発明されたことにより、名演奏が楽しめる「名盤」が生まれました。レコードに、そしてCDにより、今はストリーミングで「録音」や「ライブ」を楽しめる時代になりました。

最後になりますが、人の好みは様々なので、なるべく自分の感性に近いと思われる「口コミ」こそ「名盤」を手に入れるもっとも良い手段だと思います。私にとってのU氏のような存在があれば、今までハードルが高くて手が出なかった分野でも聴いてみようかな?という気になります。

民主主義は重要ですが、こと音楽、および芸術一般において、それは重要ではないと私は思っています。多数決で選ばれた演奏が必ず自分の好みと一致することなどあり得ないと考えた方が良いと思います。もちろん参考にはなりますが、あくまで参考です。

またまた長くなってしまいました。「白鳥の湖」の恨みをキーボードにぶつけました(^_^)

それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.9

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.9  2025/02/27

 こんにちは!第9回目はクラシック音楽における「絶対的名盤」について書きたいと思います。Vol.2でフルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲第5番「運命」の歴史的名演奏を取り上げましたが、そのような「誰が聴いても感動する」演奏を「絶対的名盤」の定義とします。

 実はクラシック音楽にはそのような「絶対的名盤」が数多く存在するのです。そこで今回は「ベートーヴェンの交響曲」有名どころの第6番、第7番、第9番の3曲について、私が選んだ「絶対的名盤」をご紹介したいと思います。9曲全部は1回ではご紹介しきれませんし、この連載の趣向であり目的である「クラシック音楽のハードルを下げる」から逸脱してしまいます。また、第5番「運命」はVol.2で取り上げましたので割愛します。

 では早速、第6番「田園」です。この曲は初めて作曲者自身によって楽章に「名前」が付けられた世界初の「標題音楽」の交響曲です。第1楽章「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」、第二楽章「小川のほとりの情景」、第3楽章「田舎の人々の楽しい集い」、第4楽章「雷雨、嵐」、第5楽章「牧歌、嵐のあとの喜ばしい感謝の気持ち」てな具合です。どうでしょう?「標題」を見ただけでイメージしやすいですよね?

 フランスの政治家であり詩人でもあったロマン・ロランは「私はこの第2楽章「小川のほとりの情景」を聴くとき涙を禁じ得ない。なぜなら作曲当時すでに聴力を失っていたベートーヴェンの心の中の「小川のほとりの鳥の鳴き声」の風景だからだ」旨の言葉を残しています。私自身もこの第2楽章が大好きで、私の葬式ではこの曲を流すよう家族にお願いしています。演奏は、ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団の演奏が最高です。特に害2楽章は絶品です。まさに「絶対的名盤」です。

 次に第7番です。こちらは「のだめカンタービレ」で平成時代に有名になったラッキーな曲です。もちろん4つの楽章の性格がはっきりしており、ベートーヴェンが意図した「大衆に届く音楽」を見事に体現しているからだと私は分析しています。

 私は特に第1楽章が好きです。ベートーヴェンの交響曲で好きな楽章をあげるならトップ3は確実です。1回聴いただけでわかるキャッチーなメロディーと、それを実現しているベートーヴェンの卓越した作曲技法が惜しげも無く積み込まれています。ちょっと難しい話ですが、第1楽章前半の繰り返しが終わってから始まる「展開部」が圧巻です。この部分は全て同じリズムだけで構成されているのに、それをそれと聴衆に気づかせないという魔法のような部分です。特にまた最初のメロディーに戻る部分は最高です。演奏は、カルロス・クライバー指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が「絶対的名盤」です。今日の3曲の中でもっとも新しく録音されたもので、音質が良いのも点数が高いです。

 最後は、第9番「合唱付き」です。第九です。ベートーヴェンの曲の中でも、突出して有名な名曲です。しかし、有名なのは史上初めて交響曲に声楽を取り入れた第4楽章です。3曲中2曲も史上初が入るベートーヴェンはやはり天才です。ただしパイオニアがあまりに素晴らしい曲を作ってしまったので後の作曲家を大いに苦しめますが、それはまた別の機会に。

 この曲は「苦悩を経て大いなる歓喜に至る」という、耳が聞こえないベートーヴェンの人生において不屈の精神で名声を得た特筆すべき曲です。第4楽章だけでなく、第13楽章でベートーヴェンは様々な「歓喜の歌」を模索して、それが開花するのが第4楽章なのです。ですので、第4楽章だけしか聴かないことは、真に第九を理解することができないと言っても過言ではありません。

 初演の際、演奏が終わり大観衆が熱狂的な拍手喝采を指揮者のベートーヴェンに送っているのに耳が聞こえないベートーヴェンはそれに気づかず、ついに見かねたアルトの歌手がベートーヴェンを聴衆に振り向かせたそうです。そこで初めてベートーヴェンは最高の歓喜の渦の中心にいることに気づきます。何というドラマティックな光景でしょうか!想像するだけで鳥肌が立ちます。演奏は、ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、バイロイト祝祭管弦楽団のライブ録音が最高です。特に第3楽章は、これ以上の演奏は考えられないくらい素晴らしい演奏です。まさに「絶対的名盤」「不滅の名盤」と呼ばれる所以です。

 フルトヴェングラーの第九については、書き足りないですのでまたの機会に。

 それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!


ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.8  2025/02/23

 こんにちは!今回は「アニメの音楽」です!「アニソン」も含みますが、あるアニメの音楽にスポットを当てたいと思います!

そのアニメは高畑勲さん演出の「赤毛のアン」です!昭和のアニメなので知らない方も多いと思いますが、4月からEテレで「アン・シャーリー」という「赤毛のアン」の新作が始まるそうですので、タイムリーな話題かと思います。

児童文学としては世界的にメジャーな「赤毛のアン」ですが、子ども時代に触れる機会があった方は意外に少ないのではないでしょうか?私自身、出会ったのは高校時代の再放送でしたから。

あらすじは、カナダの実在するプリンスエドワード島の架空の村、アボンリーのとある農家に引き取られた孤児のアンが、持ち前の前向きな明るさで引き取り先の農家のマシュウとマリラ兄妹の冷え切った心に光を与え、終生の友人ダイアナと共に夢を語り、ある事件でライバルになったギルバートと学業に切磋琢磨する、現代の子ども達と全く変わらない青春時代を送る様を、原作者モンゴメリーが実に精緻な文章で綴っています。

ちょっと脱線しますが、私はアニメで「赤毛のアン」に魅了されたので、正直原作本のあまりにロマンティックすぎる表現は難しく感じたのですが()

とにかくアニメの「赤毛のアン」です。高畑勲さんと途中までですが宮崎駿さんがタッグを組んだ「世界名作劇場」でしたから、現代の私たちからは「夢のタッグ」と言って良いでしょう。

さらに本題の音楽です。音楽担当は毛利蔵人さんで、素晴らしい仕事をなさっています。しかし、それをさらに引き立てているのは三善晃さんのオープニング「きこえるかしら」とエンディング「さめない夢」であることは間違いありません!私個人的に「世界名作劇場」屈指の名曲だと思います。

アニオタ情報ですが、主役のアンの声優を争ったのは、山田栄子さんと島本須美さんです。最終的に高畑勲さんが山田栄子さんに決められたそうですが、島本須美さんは相当悔しかったらしく、宮崎駿さんの初監督作品「ルパン三世カリオストロの城」で見事クラリス役を勝ち取りました!島本須美さんのサクセスストーリーの影には「赤毛のアン」のリベンジがあったのですね!

また私の勝手な推測ですが、ディズニーに影響を受けたと思われる日本コロムビアが「コロムビア交響楽団」を結成して、主に東映動画(東映アニメーション)の作品の劇伴音楽を演奏しているので、ハリウッドばりのオーケストラによる伴奏とBGMは、本作のみならず「キャプテンハーロック」「銀河鉄道999」にも受け継がれた東映アニメーションの良き伝統であると思います。

また脱線しましたが「赤毛のアン」は素晴らしい主題歌とBGM、そしてこだわりの高畑勲さんの素晴らしい演出と映像によって、「赤毛のアン」の世界を最も原作に忠実に映像化した作品、と世界的にも高い評価を受けています。

私が好きなBGMは、次回予告で流れる「乙女のメヌエット」です。この曲を全曲通して聴きたかったので「赤毛のアン」のBGM完全版を購入したほどです!そこには予想をはるかに超えた素晴らしい音楽がありました。ついでに言うと、私がアニメーションでDVD全集を持っているのは「赤毛のアン」だけです!

ぜひオープニングとエンディングだけでもネットで聴いてほしいと思います。

またまた感情のおもむくままに筆を走らせたので、長文になってしまい申し訳ありません。

 それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!



ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.7  2025/02/18

こんにちは!第7回目はNHKの大河ドラマの主題曲を2曲ご紹介です!前回がゴリゴリのクラシック音楽だったのに、我ながら振り幅が大きいと思います。でも私はいろんな音楽が好きで、一過言申したいので仕方ないです。皆様に楽しんで頂けるように頑張ります!

大河ドラマの主題曲と言えば、皆様それぞれお好きな曲があるかと思います。今回は私が「これが好きだよ」というレヴューですので、軽く読み流して頂いてけっこうです。決して押し付ける気は毛頭ありませんので、誤解なきようにお願い申し上げます。

私が好きな大河ドラマの主題曲の1つ目は「いのち」です!大河ドラマ唯一のフィクション、モデルとなる歴史上の人物がいない、橋田壽賀子さんのオリジナルドラマです!坂田晃一さんの作曲です。

この主題曲の何が好きかと言って、ピアノとヴァイオリンソロのせつないメロディーをオーケストラがバックで支えている点です!このドラマは、三田佳子さん、伊武雅刀さんが演じる夫婦の怒濤の物語なのですが、主題曲のヴァイオリンとピアノがまるでお二人の物語にピッタリ寄り添っていて、曲としての完成度以上の感動があります。

主題曲は例によってNHK交響楽団なのですが、この時代のヴァイオリンソロはおそらく徳永二男さんだと思います。現在でも宮崎国際音楽祭のプロデューサーとして演者として精力的に活動されている方ですが、N響のソロコンサートマスターという最高の役職で長年N響をリードされた方です。そのヴァイオリンソロの素晴らしいこと!

ぜひネットで聴いてもらいたい1曲です!

そして2つ目は「山河燃ゆ」の主題曲です!このドラマは山崎豊子さんの「二つの祖国」をドラマ化したもので、戦中戦後の日本とアメリカに引き裂かれた、松本幸四郎さんと西田敏行さんの演じる兄弟の物語です。林光さんの作曲です。

主題曲の冒頭に「祖国は緑なる山河 あたたかくもやさしき母なる大地」のテロップが流れると、もう涙腺崩壊です()!その後、勇壮なAパートから柔らかなBパートを経てクライマックスに突入する、大河ドラマお馴染みの展開ですが、毎回物語を見て行くうちに「いのち」同様にドラマと主題曲のシンクロがものすごくて、このドラマにこの主題曲あり!と勝手に思っています。

こちらもぜひネットで聴いてもらいたいです!

最後に、今回の2曲はあくまでもルクエテマスターの趣味ですので、アンケート的なランキングをつけるものではないことを強調しておきます。曲の好みなんて十人十色なのですから。

気持ちが入ると長文になりますね。申し訳ありません。

それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!



ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.6  2025/02/14

こんにちは!第6回目は、クラシック音楽です!というより、オーケストラのお話しです。ちょっと脱線気味かもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。

 唐突ですが、私は世界のオーケストラの中でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が一番好きです。そのきっかけになった曲についてのお話をします。

それは、レナード・バーンスタイン指揮のシューマンの交響曲第4番です。聴き所は第3楽章と第4楽章のほとんど最後の部分です。

 まず曲についてですが、私もほとんど知りません(^_^)!交響曲第1番「春」と同時期に作曲されたが、楽譜の出版の順序の関係で「第4番」になったそうです。知識なんてこんなもので良いです。肝心なのは曲がどうか?ですから。

 このバーンスタイン指揮のシューマン交響曲第4番は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団がいかに素晴らしいオーケストラであるかを私に教えてくれました。これはいろいろな条件が重なって、偶然生まれた「録音」ですから。

その条件とは、①バーンスタイン指揮であったこと、②ライブ録音であったこと、の2点が大きな要素だと思っています。

 まず①について、バーンスタインは当時カラヤンと人気を二分するほど有名でしたが、その演奏録音は、同じドイツ・グラモフォンレーベルでしたが明らかにベクトルが違っていました。カラヤンはホールの残響のある多少メロウな録音がお好みだったようですが、バーンスタインはデッドに細部の音が聞こえる録音が多いように思います。

 そして②ですが、バーンスタインの好みだと思うのですが、シューマンの交響曲第4番にはヴァイオリンとチェロのソロのメロディーがあり、私の勝手な推測ですが、ライブ録音だったので録音スタッフがヴァイオリンとチェロのソロがよく録音できるようにサブマイクを設置したようなのです。

 そのおかげで、他の指揮者のシューマン交響曲第4番とは全く異質な演奏録音になりました。他の演奏CDでは聞こえない音がバーンスタインの録音からは明瞭に聴こえてくるのです。多分そのおかげで、この演奏CDの評価は不当に低いものになっていると私は思っています。要はバランスが歪だというのですね。

 しかしこの歪な録音が幸いして、私はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が一番好きになりました。まさに「怪我の功名」とはこのことです。

 具体的には、第3楽章では3拍子で激しいAパートと穏やかなBパートが繰り返されるのですが、Bパートでチェロとコントラバスは3拍子の時は「ズンチャッチャ」の「ズン」を担当するのですが、この「ズン」のチェロが死ぬほど美しい音なのです!マイクが近いのではっきりと聴き取れます。私はこれにやられました!(^_^)

 ヴァイオリンが上手いオーケストラは結構ありますが、チェロが上手いというオーケストラの評判は聞いたことがありません。チェロとコントラバスをまとめて「低弦パート」と呼ぶのですが、「低弦パート」が上手いというオーケストラはあります。だけど、チェロが上手い!という事がわかるのはこの演奏で特筆すべき事です。

 そして第4楽章のほとんど最後に、一瞬どの楽器も休んで音が無い瞬間が2回あります。その2回目にヴァイオリンが1/16拍だけ飛び出して演奏する箇所がありますが、これが本当に絶妙な「飛び出し」で、初めて聴いたときは「ヴァイオリンのフライングか?」と本気で思いました。だって、他の指揮者の演奏では聞こえない音でしたから。しかし楽譜を確認すると、確かにヴァイオリンだけ「飛び出す」ように書かれています。シューマンの意図を最大限にくみ取っているほとんど唯一無二の演奏がこの演奏なのです。

 他にも至る所でチェロがどういう音を弾いていることが明瞭にわかる演奏が、この演奏です。シューマン交響曲第4番はチェロが超絶技巧を要する曲だということがはっきりわかります。ネット検索して、その部分だけを取り出して聴いてみてください。他の演奏を知らなくてもどれだけウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロパートが上手いのかがわかるはずです。

 少々長文になり、申し訳ありませんでした。

それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.5

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.5  2025/02/11

こんにちは!第5回目は、またクラシック音楽に戻ります!あー!わからない!ハードル上がったー!などネガティブ思考は捨てて、私にだまされたと思ってお付き合いください!まあこんな場合大体だまされるんですけどね(^_^)

今日はベートーヴェンです。ベートーヴェンは素晴らしいプロデューサーで、いつもお金儲けのことを考えていました。一方で天才でしたから自己芸術の追究にも余念がありませんでした。当時はまだまだ貴族という特権階級が庶民を支配していましたので、ベートーヴェンはそのどちらにもエンターテインメントを提供しようと思いました。

具体的に言うと、音楽のたしなみを持つ貴族には自分の芸術性を前面に押し出した「ピアノソナタ」「ヴァイオリンソナタ」「弦楽四重奏」をぶつけ、庶民には大衆受けする「交響曲」「協奏曲」をぶつける作戦をとりました。この作戦は大成功で、現代でもベートーヴェンを聴くならまずは「交響曲」から、というのがとても楽しくわかりやすいと思います。「のだめカンタービレ」でもベートーヴェンの交響曲第7番(通称ベト7)でとても盛り上がりましたね。

しかし!あえて今日は「弦楽四重奏」で行きます!単純に私がもらった感動を皆様にお届けしたいからです(^_^)!その曲は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」の第4楽章です!

この曲は先に紹介したとおり「貴族向け」の多少難解な曲なのですが、そんな理屈なんかどこかに飛んでしまうくらいエキサイティングな曲です。聴けば一発でわかります。小難しい内容なんて考える暇も無いくらいの絶大なインパクトがあります。

簡単に曲の紹介をすると、ベートーヴェンが貴族の「ラズモフスキー伯爵」に献呈した、弦楽四重奏曲第7番~第9番の3曲が「ラズモフスキー第1番~第3番」と呼ばれています。その3曲目のフィナーレである第4楽章です。

この曲は「フーガ」の技法で作曲されています。「フーガ」なら、バッハの「小フーガト短調」を小学校で聴いた方もおられるかと思います。要するに同じようなメロディーが、これでもか!と言うくらい何回も出てくる音楽です。弦楽四重奏曲ですので4つの楽器(ヴァイオリン×2、ビオラ、チェロ)で演奏されます。

私がこの曲を初めて聴いたのは、学生オーケストラの後輩の家で「先輩、これスゴイですよ!」と言われて聴きました。ジュリアードSQString Quartets、弦楽四重奏団)のアメリカ国会図書館でのライブ演奏でした。その演奏に「なに?コレ!」と一発でやられてしまいました。ものすごい衝撃でした。こんな曲がこの世にあるのか?と思いました。その曲を大学の研究室の同期に聴かせたら、ものすごくビックリしていました。その後彼はクラシック音楽にのめり込んでいくのですが(^_^)

別にジュリアードSQでなくて良いです。この曲を演奏できるレベルの四重奏団なら、まずハズレはありません!ネットで「ラズモフスキー第3番」で検索すれば、すぐにヒットします。曲自体5分くらいの短い曲です。そこにものすごい宇宙が詰まっています(言いすぎ?)。是非聴いてください!

それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!

ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.4 2025/02/07

 こんにちは!第4回目は、アニソンです!これまでのクラシック音楽からグッとハードルが下がったと感じられる方もいらっしゃるでしょう。しかしながら私もいい歳なので、正直得意なのは昭和のアニソンです。平成以降では「エヴァンゲリオン」までが限界です。ですので、お若い読者の皆様には相変わらずハードルが高いのかな?と思いつつ、ネットの力を信じていきたいと思います。

 今回のこだわりは「伴奏」です!「ゲッターロボ」と「あしたのジョー」から「力石徹のテーマ」を取り上げます。

 この2曲ともジェンダーフリーの世の中で言うのも何ですが、男の魂を揺さぶるようなパワーにあふれており、「ゲッターロボ」はささきいさおさん、「力石徹のテーマ」はヒデ夕樹さんのパワフルなシャウトが印象的な名曲です。その力強い歌声を支えているのが、今回のテーマ「伴奏」なのです。

 まずは「ゲッターロボ」です。この曲は耳を澄まして聴かないとわからないかもですが、ストリングス(ヴァイオリン)がものすごく活躍しているのです。ささきいさおさんの歌声に寄り添うように、これ演奏できるの?どんな楽譜なの?という信じられないような伴奏を、ほぼ曲の全体連続して演奏されています。「ゲッターロボ」というロボットアニメの主題歌として、どこに出しても恥ずかしくない演奏に舌を巻いてしまいます。

 一方の「力石徹のテーマ」ですが、こちらの「伴奏」の立役者はピアノです。前奏、サビ、後奏、すべてに渡ってジャズの調べのようにピアノがヒデ夕樹さんのシャウトを引き立てています。「あしたのジョー」の主題歌があまりにも有名なため、マイナーな曲ではありますが、是非とも聴いて確かめていただきたい!という曲です。

 いつものようにネット検索すれば、すぐに聴くことができる曲ばかりです。できれば高音質バージョンで聴いていただければ、なおよろしいかと思います。昭和の時代は高度成長期で、子ども向けのアニメもとても充実していました。私の性格もアニメに多大な影響を受けている自覚があります。現代のアニメを卑下しているわけではありません。多感な時期に触れたものは、その後の人生に大きな影響を与えます。今若い皆様は、今のアニメから良きメッセージを受け取っていることでしょう。

 それでは今回はこれで!次回も乞うご期待!



ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.3  2025/02/04

 こんにちは!第3回目は、ゲーム音楽です!皆様ご存じ「ドラゴンクエスト」シリーズから「交響組曲ドラゴンクエストⅣ」の中の「謎の城」を取り上げます!

 故すぎやまこういち先生作曲の大ヒットRPGゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズのBGMは先生自身の手で編曲され、オーケストラによる「交響組曲」がCDリリースされています。

 最初は「ドラゴンクエスト」第1作目から「ドラゴンクエストⅤ」までがNHK交響楽団の演奏でCDリリースされたと記憶しているのですが、その合間に「ドラゴンクエストⅣ」をなんとロンドン・フィルハーモニー管弦楽団が演奏したCDがリリースされ、現在までロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏CDの方がメジャーではないかと思います。もちろんすぎやまこういち先生が指揮をする「自作自演」です。

 そのロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による最初の「ドラゴンクエストⅣ」の演奏は、NHK交響楽団の演奏と比較すると、少なくとも私には別次元のような素晴らしい演奏に聴こえます。今回クローズアップするのはその中の「謎の城」という曲です。私はこの演奏で「ヴァイオリンとチェロの二重奏」の素晴らしさを知りました。

 「謎の城」は冒頭からヴァイオリンによるソロ演奏で始まります。その合間にチェロが対旋律で二重奏(デュオ)になるのですが、私はそれまでは「ドミソ」のように3つ以上の音が「和音」だと思っていたのですが「謎の城」ではヴァイオリンとチェロの「2音」で「和音」になっているのです!

 正確にはヴァイオリンが2本の弦で違う音を同時に出す「重音」になっているようなので「和音」が完成しているのかもしれませんが、私には2本の弦楽器でこのような豊かな「和音」を出すことができるのだ!と、初めて聴いたときの衝撃を忘れることができません。「和音」の美しさだけでなく、一聴するとぶつかり合う「不協和音」のようなデュオがまた気持ちが良いのです。こんな経験は初めてでした。是非皆さんもネットで聴いてみてください!NHK交響楽団の演奏と聴き比べをするのも楽しいと思います。

 というわけで今回はこのあたりで!次回も乞うご期待!

 


ルクエテマスターの今日の演奏!
Vol.2  2025/01/31

 こんにちは!第2回目は、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の第4楽章冒頭です。「運命」は皆さん小学校で聴きましたよね?冒頭の「ジャジャジャジャーン!」です!この部分はまた古いアニメの話で申し訳ないのですが、国産テレビアニメ第1号「鉄腕アトム」でアトムが起動するときのBGMに使われました。手塚治虫先生はクラシック音楽にも詳しかったのですね。

 しかし!今回は第4楽章の冒頭のお話しです。「運命」は第1楽章の「ジャジャジャジャーン!」があまりに有名で、実は他の部分は知らない人が多いのです。ベートーヴェンが作った曲なのですから、他の部分もものすごく素晴らしい音楽です。今回はその中でも特に第4楽章冒頭をクローズアップします。

 なぜ第4楽章冒頭なのか?理由は私がもっとも好きな「運命」の演奏が、他の演奏とあまりにも違うからです。その演奏は20世紀最高の指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとベルリン・フィルの1947527日のコンサートのライブ録音です。この演奏の背景を簡単に説明します。

 1947年は第2次世界大戦終了の2年後です。フルトヴェングラーはドイツに残って演奏を続けたため、連合国から2年間の演奏禁止になりました。フルトヴェングラーは当時すでに世界的名声を得ており、ドイツ国民は彼の音楽に心酔していました。それが戦争のために2年間も演奏禁止となり、待ちに待ったフルトヴェングラーの復帰コンサートこそこの「運命」なのです。

 敗戦国ドイツは日本と同様に、食料をはじめとする物資に困窮していました。しかしそれでも人々はコンサートのチケットを求めて長蛇の列を作り、中には自分の靴を差し出してチケットを求めたそうです。コンサートは開演前から異様な熱気に包まれ、フルトヴェングラーが登場すると超満員の聴衆から割れんばかりの拍手で迎えられました。ざっとこんな背景です。

 さて、「運命」は第3楽章と第4楽章が連続しています。切れ目がないのです。第3楽章最後で徐々に盛り上がって、そのまま劇的に第4楽章が始まります。このつなぎ目の部分(ブリッジと言います)は普通に演奏しても感動的なのですが、フルトヴェングラーの演奏はなんとブリッジ部分が他の演奏の3倍くらい長い時間をかけて、一瞬の絶妙な途切れのあと貯めに貯めたエネルギーを爆発させるように第4楽章が始まります。言葉にするとものすごく陳腐なのは承知ですが、聴けば一発でわかります。

 「苦悩を経て大いなる快楽に至る」はベートーヴェンの曲にしばしば現れるパターンで、「運命」「第九」が有名です。この演奏はもちろんモノラル録音で、現代の録音に慣れた耳には聴き苦しいと思いますが、そんなハンディを超えてベートーヴェンの音楽が伝わってくる希有な名演奏です。ネットに転がっているはずですから、他の演奏と聞き比べてください。あまりの違いに驚くこと間違いなしです。

 長文になり申し訳ありませんでした。次回も乞うご期待!です!


ルクエテマスターの今日の演奏!Vol.1  2025/01/26

ルクスエテルナは不動産事業の他に芸術振興も事業の
1つです。今回から新コーナーとしてルクエテ(ルクスエテルナ)マスターがオススメの演奏を趣味丸出しでピンポイントで語りたいと思います。
今日はクラシック音楽です。クラシック音楽は敷居が高い、興味が無いと思っているそこのアナタ!だまされたと思って読んでください!

1回目は、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」の第4楽章冒頭です。この曲はTVアニメ「ルパン三世」で宮崎駿監督が演出した「死の翼アルバトロス」で使われました。

超巨大飛行艇アルバトロスが離陸するときに流れたこの曲は、子どもだった頃の私の心に突き刺さり「かっこいいなあ!」と素直に思ったものです。大学生の時にその曲が「オルガン付き」だと知ってすぐに
CDを購入しました。

ジョルジュ・プレートル指揮、パリ音楽院管弦楽団の
1963年の録音です。なぜこのCDにしたかというと一番安かったからです(^_^)!。でも聴いてビックリ!ものすごい重低音のオルガンが鳴り響く、とても過激な演奏でした。

この
CDですっかり「オルガン付き」が好きになった私は他のCDも聴きまくりましたが、私にはこのプレートルのCDを超える演奏はありませんでした。現代はYouTubeで無料で聴くことができます。是非皆さんもこの重厚なサウンドを経験して欲しいと思います。

このコーナーではクラシック音楽に限らず、アニメソング、歌謡曲など皆様に寄り添った音楽のレヴューを行っていきますので、次回も乞うご期待!です!

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